活動をしていて感じること

十分理解できる言語で読み聞かせができる絵本の力「おとうさんのちず」

多言語で絵本を準備して

来日まもなく、学校生活の準備のために日本語を学ぶ子どもたちに、今日も絵本を届けに行きました。読んだ本は「おとうさんのちず」あすなろ書房(ユリ・シュルヴィッツ作、さくまゆみこ訳)です。

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おとうさんのちず / ユリー・シュルヴィッツ 【絵本】
価格:1650円(税込、送料別) (2020/11/20時点)

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本のあらすじ

主人公の男の子は両親と戦火を逃れ、見知らぬ土地で食にもこと欠く生活をしていました。ある日父親が、パンの代わりに一枚の世界地図を買ってきます。その地図で空腹は満たされません。でも、少年は想像を広げ魔法の時間を過ごすことができるのです。自伝絵本とのこと。コルデコット賞銀賞、日本絵本賞受賞作品です。

多感な年齢の子どもたちと

今回読み聞かせた子どもたちは、小学2年生から中学3年生まででした。出身はブラジルの子どもとフィリピンの子どもです。お話は難しくないのですが、お話の男の子の気持ちにしっかり寄り添ってほしくて、ブラジル人とフィリピン人の指導者の方にお願いして1ページずつゆっくり丁寧に日本語版、ポルトガル語版、英語版と三言語で読みました。すると小学生よりも中学生、中でも中学2年生の男子2人が真剣に聞き入ったのです。読後には、ポルトガル語で書かれた巻末1ページぎっしりの作者あとがきまで読んでもらって、なにやら一生懸命ポルトガル語で話していました。(ポルトガル語は話せても、読み書きは少し苦手なようです。)彼らは戦火を逃れたわけでも、食にこと欠くわけでもありません。しかし、遠い国に来て不自由な思いや疎外感を感じている事は同じなのかもしれません。

心に響く読み聞かせをするために

外国にルーツを持つ子どもたちは、それだからこその複雑な思いを年齢相応の感受性でもって抱えています。そんな子どもたちに、是非一番わかる言語で読んでほしい作品です。私たちの団体では、ポルトガル語、英語、中国語、日本語の4言語を揃えました。探せばもっとほかの言語も見つかるかもしれません。(ぶどう)